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1978、冬(613asahi)

あの時代の気分を描く
613.jpg
 中国の文化大革命が10年つづいて、社会にも人々の心にも大きな傷を残してやっと終わったのが1976年の秋で
ある。この映画はそれから間もない頃の中国の北方の小都市の若者たちを描いている。
 大きな工場のある町に活気はない。人々は仕事にも手がつかない風情であり、僅かな楽しみの演芸会でもまだ毛沢
東礼賛の芝居を惰性のようにやっている。これからどうしたらいいか、まだ方向は見えてこないのだ。
 そんなわびしい情景も、その時代に幼年時代を過ごした世代であるリー・チーシアン監督にとってはかけがえのな
いなつかしいものであるからであろう、なるぼどあの時代はそんな気分だったのかということが、いちいちくっきり
と分かるように描けているところが見事である。何をしていいか分からないような状況の中でも若者たちは恋をする。恋の仕方を教わることもなかったから、不器用で、乱暴だ。そろそろ兵隊に行く年頃の青年スーピンは、北京からやってきた都会的な少女シュエンに恋をする。彼女はたぶん文化大革命で迫害された知識層の娘で、この町には逃げるようにしてひとりでやってきたのである。スーピンには彼女はまぶしいほどに美しかったに違いない。
 彼女に会うために無茶をするスーピンは、そのために町では不良と言われている。その弟の11歳のファントウも、
不良の弟だからお前も不良だろうと悪ガキたちにいじめられるが、弟としては兄貴とその恋人を絶対支持だ。しかし
3人は孤立し、それぞれに孤独である。その不幸な愛の終わりが成長した弟のせつない思い出として語られる。貧し
く厳しかった時代によせる心情あふるる佳品である。
 (佐藤忠男・映画評論家)
 14日から、東京渋谷ユーロスペースほか順次公開。

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コメント 2

mistletoe

とても、ラストが切なそうですね…。
中国映画はほとんど観たことがないです。
どうも、ヨーロッパ映画に気がいってしまって。

今週の土曜日に画伯ご参加の展覧会を拝見させて
頂く予定です。楽しみです。
by mistletoe (2008-07-02 18:54) 

cabinets

文革時代を描いた中国映画は大体見ています。
どうしても見たくなってしまうのです。
オープニング行っています。
ひょっとして初・・でしょうか?
by cabinets (2008-07-03 23:17) 

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