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問われる鑑賞教室の意義(606asahi)

世界的な画家・横尾思則さんの展覧会を鑑賞する小学4年生向けの「美術鑑賞教室」が、急きょ中止された。東京都世田谷区立の小学校の約3分の1が参加する予定だったが、校長会の要請で、区教育委員会が決めたという。なぜなのか。(宮坂麻子)
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 「少年探偵団」や「怪人二十面相」をモチーフにした絵、各地の「温泉」……。約700点の横尾作品を鑑賞するため、週末の世田谷美術館には千人以上が列をなす。
 それぼど人気の企画展「冒険王・横尾思則」を、区内の小学4年生が5月14日から、順次鑑賞する予定だった。
 区立小の4年生は年1度、世田谷美術館で鑑賞ボランティアの解説で作品を見ている。どの企画展を選ぶかば、学校の白由だ。今年は全64校中、22校が「冒険王」を選んだ。
 「再考してほしい」 企画展が始まって間もない4月23日、小学校校長会から区教委に突然、要請があった。前日に下見した一部の教師から「過激ではないか」などと懸念の声が上がったことがきっかけだった。作品の中に、裸体の女性や男女の性行為、ナイフを持つ少年などが点在していたからだ。
 慌てた区教委は、教室開催を中止。しかし、小学校の大半は移動用のバスを予約していた。急きょ、見学先は「ファーブル昆虫記の世界」展が開かれていた近くの世田谷文学館に切り香えられた。
 区教委は「要請を受けて見に行ったが、冒険王は4年生には理解しにくい内容だった。ファーブル展にも崖虫のジオラマや絵はあるので、美術鑑賞になる」と説明する。
 また、同教室運営委の永山満義委員長は中止の理由を「委員会では実務ばかりで内容の吟味はせず、作品の写真も1、2枚しか見なかった。連絡を受けて初めて展示を見て、保護者からどんな声が出るかと危倶した」と語った。
 5月1日に中止を通告された美術館は、180人の鑑賞ボランティアを解約。勅使河原純副館長は取材に「釈然としない」と疑問を示した。ただ「区教委の主催事業なので仕方ない。芸術から性的な要素は外せないのに」と首をひねるだけで、きちんとした議論はまだしていないという。
 過去には、裸体などの作品があっても教室は行われてきた。美術館と連携した美術鑑賞は文科省も02年度の学習指導要領から重視。ある小学校図工教師は「あまりにこっけい。子どもに何を伝えるのかきちんと考えていなかった結果」とみている。
 鑑賞ボランティアの女性は悔しがる。「私たちを倍額してもらえなかった。子どもは大人とは違った見方をする。実際に小中学生も見にきているけれど、目を覆ったり騒いだりしている子はいない。もっと子どものことを考え、話し合って欲しかった」
 鑑賞事業は中学生向けにも行われている。しかし、チケヅトを配り、各自で行く方法なので「問題ない」という。
 首都大学東京の長田謙一教授(芸術学・美術教育静)は盲険王を見て、小学生が非常卿に楽しめる企画展と思った。「絵に隠されたモナリザなどを探すうちビジュアルの世界に楽しくとり込まれ、見ることの意味にも思い至る作品展。区教委は中止決定で美術鑑賞にたがをはめる重大結果を招く前に、展覧会にも鑑賞教室の意義にも即した努力ができたのでは」という。横尾さんに対し、区教委からは、いまだきちんとした事情説明はないという。
 メモ
横尾忠則=写真 1936年兵庫県生まれ。グラフィックデザイナーから、80年代に画家に転身。昨年、世田谷区の特別文化功労者にも選ばれた。07年度の教科書換定で、出版社側が高校美術の教科書に収録しようとしたポスターが「健全な情操の育成に必要な配慮を欠いている」と意見がつき、差し替えられた。15日まで開催の「冒険王」展には、その原画も展示されている。27日から兵庫県立美術館でも開催される。

「芸術は本来、過激」横尾さん談話
 区教委に過激だと言われても、ちっともうれしくないですね。ちなみに僕の展覧会はその区教委が後援しているんです。僕は白分の作品が過激だとは少しも思わないけれども、芸術というのは本来、過激の歴史ではないでしょうか。区教委の懸念に反して、子ども連れの観客がかえって増えているらしいですね。美術館が区教委に対して「釈然としない」と意思表明したことは、公立美術館として勇気ある対応だと思います。
問われる鑑賞教室の意義

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